米国の従業員がChatGPTに送った業務メッセージ80万件を調べたところ、職務に関連する質問10件のうち4件以上が実は『他人の仕事』でした。
OpenAIが7月末に発表した報告書『Work at the Frontier』によれば、書き込み・要約・スケジュール管理のように誰もが行う作業を除いた残りのメッセージの43.5%が、元は別の職種が行っていた業務でした。カスタマーエクスペリエンス担当者は77%、デザイナーは75%、人事担当者は69%がそうでした。マーケターがウェブサイトのエラーを直接修正し、営業担当者がアナリストに渡していた顧客データを直接処理し、人事担当者が財務計算を行います。OpenAIはこれを『業務の横断』と呼びました。

9月に発表されたフォローアップ研究はさらに注目に値します。同じ人物約6,200人を4月から7月まで追跡したところ、一度他人の業務を経験したものが業務関連のAI使用において占める割合が13.1%から25.9%にほぼ倍増しました。これは好奇心で一度やってみたのではなく、日常業務として定着していることを意味します。顧客と製品の相談業務は54%、広告文案の作成は44%が翌月も再度行いました。
私はこの数字を見て、「AIが仕事を奪うのか」という馴染みのある質問よりも、もっと現実的な質問が浮かびました。私たちの会社の組織図と職務記述書は、実際に起きていることを反映しているでしょうか?
1. 役職よりも仕事が先に動く
報告書の結論は意外にも淡々としています。役職は変わらず、業務のまとまりがまず変わるということです。労働統計は職務記述書と求人広告が変わった後に初めてこの変化を捉えます。その間にギャップが生じます。
私はこのギャップから生じる仕事を『シャドウ R&R』と呼びます。文書上ではマーケティングチームの業務ではないのですが、実際にはマーケターが毎週行っている仕事です。約30年にわたる大企業のIT戦略とコンサルティング現場での経験から、韓国の組織はR&Rが特に固いと感じました。他人の仕事をすると、成果として認められるよりも越権だと指摘されやすいです。そのため、AIで他部門の仕事を処理した従業員は、その事実をわざわざ明かしません。会社は仕事がどこに移っているのか分からぬまま、古い組織図に基づいて人を採用し評価してしまいます。
2. 借りた専門性にはレビュー担当者が必要
フォローアップ研究には興味深い点があります。自分の分野以外の仕事について尋ねるとき、人々は質問をより短くし、説明や方法については少なく尋ねます。代わりに例や背景資料を多く付け、「これが正しいか確認してほしい」というリクエストを頻繁に行います。新しい分野を学ぶのではなく、すぐに必要な専門性を一時的に借りているのです。
借りた専門性は便利ですが、リスクも伴います。OpenAIも、この成果物が実際に使われたか、品質はどうだったか、専門家がレビューしたかを確認していないと認めています。マーケターがAIでレビューした契約書や、営業担当者がAIで計算した割引マージンがそのまま顧客に渡されたらどうなるでしょうか?私なら業務の横断を防ぐよりも、まず『どこから専門家のサインが必要か』を決めます。広告文案はマーケターがAIで書いても構いませんが、契約条項と財務数字は担当部署が最後に一度確認する形にします。禁止リストではなく、レビューポイントのリストを作るのです。
3. 組織が小さいほど早く、より大きく変わる
報告書は会社規模の違いにも言及しています。平均的な使用量の従業員を基準に、2〜5人が共有するワークスペースでは業務横断の割合が18.9%、100人以上の組織では16.3%でした。差は大きくありませんが、方向性は明確です。隣に専門家がいない場合、人々はAIに尋ねます。
国内の中小企業やスタートアップにはこれがチャンスです。法務チームもデータアナリストもいない組織では、一人で対応できる業務の幅が広がるからです。逆に大企業は専門組織があるため、この変化に気づくのが遅れる可能性があります。共有サービス組織へのリクエスト件数が減っている場合、仕事が減ったのではなく、現場がAIで直接処理を始めたサインかもしれません。
職務記述書を変更する前に、まずログを確認せよ
OpenAIの報告書のサマリー部分に次のような文があります。政策担当者向けの発言ですが、私は企業にとってもっと必要な言葉だと考えます。どのような新しい業務のまとまりが可能になるか、そしてその仕事に備えている人、許可を得て行える人、報酬を受け取る人が誰かを知る必要があるということです。
手順はシンプルです。まず、従業員がAIでどの他人の仕事をしているかを確認します。その中で毎月繰り返される仕事は公式業務として認め、評価に反映します。リスクのある仕事にはレビューポイントを設けます。その後、職務記述書を改訂します。仕事はすでに動いています。組織図だけがまだ気づいていないだけです。
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